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2007年1月26日 (金)

不実施補償(共同研究の成果帰属③)

(1月24日より承前)

さて、特許法における共有特許の扱いをまとめておくと、次のようになる。

①特許を自分で実施するにあたっては、他の共有権者の同意を必要としない。

②特許を第三者にライセンスないし譲渡するには、他の共有権者の同意を必要とする。

①に関していうと、前日のブログで述べたとおり、企業はその特許を自分で実施できるが、大学は(そもそも事業主体ではなく研究機関、教育機関なのであるから)自分で特許を使って、商売をやるようにはなっていない。

つまり、①の観点からみると、企業・大学という共有権者のうち、企業だけが利益回収できる(可能性がある)のであった。

大学は蚊帳の外である。

であれば、大学としては、第三者に特許をライセンスして回収したい、と考える。

ところが、これも簡単にはできない相談で、②の条項が引っかかってくる。

すなわち、共有権を持つ企業の同意を得ないと、第三者へのライセンスはできないのだった。

当然、共有権を持つ企業としては、自社だけで特許を使用したいわけで、大学から第三者へのライセンスを拒否できるのだ。

よって、大学は、第三者へのライセンスや譲渡も不可能となり、やはり資金回収できない。

すなわち、大学から見ると、共有企業は、実質的に独占的な特許使用を行いながら、大学には一円も還元していないことになる。

それもこれも大学が特許の「不実施機関」であることから来ているわけで、仮に民間企業同士が共有特許を持ちあっているとしたら、こんな事態にはならない可能性が高い。

民間同士の持ち合いなら、おそらく、お互いに権利「実施者」としてのパワーを、前面に押し出してくるだろう。

こうしたことが背景となり、大学は、「不実施」による共有企業の「実質独占ライセンス状態」に対して、金銭的対価を求めることになる。

つまり①に戻って、企業が自社で特許を実施する場合にも、有償にしてほしい、ということだ。

これが「不実施補償」である。(続く)

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