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2006年10月 5日 (木)

利益相反⑦

産学連携に関わる三つ目の利益相反は、「大学の公共性・社会性と、利益追求の相反」である。

大学には公共機関としての立場があるが、そこに産学連携が喧伝されると、大学の利益追求という相容れない側面が発生するように思ってしまう。

しかし、産学連携は、あくまで公共性を担保した上に付け加えられるべきものだ。

従って、ここでも、利益相反を回避しながら、両者が両立するような形を追及しなければならない。

具体例としては、知的財産の取扱いなどがある。

公共性の立場から大学の発明は広く世の中に使ってもらいたいのだが、これは、知的財産を用いた大学への利益還元を求める、という立場と矛盾する可能性がある。

数学のカーマーカー法特許や、米国ベンチャーのヒトゲノムそのものを特許化しようとした事例など、行き過ぎた知財の確保は、往々にして非難を浴びてきた。

そこで、発明の事実や権利は確保するとしても、それをどのように使っていくかは、ケースバイケースで、バランスを見ながら判断することが望ましい。

一つには、特許で保護したほうが、ライセンス先の企業にも安心感を与え、結果その企業の努力で技術が普及するという事例もある。

逆に、オープン・ソフトウェアのように、著作権は確保しても、自由ライセンスで幅広く世の中に普及してもらいたいという技術もあるだろう。

今後は、どのようなケースにおいて、フリー、オープンに社会還元を行うべきか、はたまたライセンス付与を重視していくべきか、の判断事例を蓄積していくことが、必要になるものと思われる。

 

■       ■      ■

以上述べてきた様々な利益相反に対して、大学は、産学連携の位置づけ、利益相反ポリシーの策定、セーフハーバールールの作成、情報開示、各種窓口やアドバイザリー機能の強化など、一連の施策を進めつつあり、次回以降はその様子を見ていくことにしよう。

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