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2006年10月20日 (金)

ものづくりの真理

東京大学で「ロボット新世紀」という公開講座が開かれている。

いくつか講義を聴いているが、その中から、経済学研究科の和田一夫先生の講演が、印象に残ったので、ご紹介。

内容は、フォード生産システムについての定説を打ち破るお話で、大変感銘を受けた。

ヘンリー・フォードによる、T型フォードの生産が、近代的な大量生産方式の嚆矢だったということは、よく知られている。

一般には、ベルト・コンベアによる流れ作業こそが、その最大の鍵であった、と理解されている。

ところが、調べてみると、この定説は疑問だらけ。

ベルト・コンベアを入れる前から、既にフォードの生産性は劇的に上がっていた。

また、最盛期でも、複数あるフォードの工場の大半には、ベルト・コンベアが入っていなかった。

つまり、流れ作業が生産性向上の秘密だというのは、間違いだったのである。

それでは生産性向上の本当の理由は何か。

実は、標準化による部品の精度・信頼性の向上だったのだ。

これがあれば、生産ラインの途中や後工程での作り直しがなくなって、やすりも万力も余分な人員も、全部不要となったのだった。

部品の品質を信頼できるなら、据え置き生産でも、流れ生産でも、生産性はあるレベルをクリアできるということだ。

昨日取り上げた藤本先生のものづくり論ではないけれど、標準化と構成要素(部品など)の信頼性のアップ、そして現場の絶えざる創意工夫こそが、生産性の鍵だった。

ことほどさように、定説は我々の眼を曇らせることもある。

真理は大きなキャッチフレーズよりも、小さいことの積み重ねの内に宿っているということか。

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