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2006年10月 3日 (火)

利益相反⑤

(9月22日より承前)

産学連携において、発生しそうな固有の利益相反とは何だろうか。

「利益相反ワーキング・グループ」の報告書(科学技術・学術審議会)は、利益相反を、責務相反、個人の利益相反、大学組織の利益相反に、まとめている。

それぞれについて、見ていこう。

■     ■     ■ 

まず、「債務相反」だが、これは、研究者が、大学の職務遂行と兼業先(企業)での職務遂行を、両立できない状況を想定している。

具体的には、企業活動の方が忙しすぎて、大学の研究や教育(授業など)に支障が出る場合がある。 

休講が増えたり、あるいは研究そのものに時間が取れない、という状況だ。

反対に、大学での仕事をエクスキューズにして、企業と契約した責務を全く履行しない、という場合もあるだろう。 

実際、多くの研究者が産学連携に二の足を踏む理由の一つは、企業側との契約のせいで、自己の研究や教育活動に支障がでることを恐れるから、ということがある。

これはこれで、責務相反リスクを事前に回避しているという見方もできるわけで、ある意味健全な判断ではある。

ただし、全ての研究者がこうした行動をとると、産学連携の機会損失は極大化してしまう。

したがって、債務相反に関しては、兼業先の業務について「何を、いつまで、どれくらいの労力でやるのか」という事前のプランニング、およびしっかりしたプロジェクト・マネジメントが重要になってくる。

その支援策として、例えば、東京大学では、「Proprius21」という、「共同研究を始める前のプランニング制度」を設けている。

これは、企業からプランニング担当者が来て、一定期間(例えば三ヶ月とか)研究者と話し合いながら、研究の目的や体制、取り組み方、時間とスケジュールなどを詳細設計するものである。

大学の研究者も、こうした制度をうまく活用して、債務相反のリスクが拡大しないよう、余力を持ったプランニングを行うことが望まれるのだ。


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