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2006年10月 4日 (水)

利益相反⑥

(10月3日から承前)

産学連携に関わる二つ目の利益相反は、「大学組織と個人の利益相反」である。

研究者が、大学の組織人としての立場を使って、個人的利得を得るような何らかの「利益供与」を、企業や自身に行う、というものだ。

具体的には、大学の研究設備を無償で企業に提供する、大学で開発した発明を企業名義に付け替える、当該企業に対して優遇的な売買取引を行う、など様々な形の「利益供与」が想定される。

その上で、研究者は、当該企業から、取引の対価や株式の値上がり益という形で、個人的利益を回収する。

研究者の立場と企業の立場を両方持っていれば、ポケットの右から左に移すかのように、様々な利益・便益の付けかえが、可能なのだ。

実のところ、この点のリスクが産業界に徹底されているかというと、はなはだ心もとない。

ほんの23年前だが、ある企業が共同研究を行うと称して、「大学の資産である研究設備(実験施設やコンピュータなど)を、もっと自由に使わせてほしい。そんなこともできないから大学は駄目なのだ」と言っていたのを、聞いたことがある。

もちろん、これは、利益相反のリスクに照らしてご法度だろう。

すなわち、研究者が兼業や投資を行う場合、そのことと、研究設備、知的資産、時間や労力といった大学側に帰属するリソースとの切り分けを、きちんと行うことが必須である。

設備の利用や学生の活用、知的資産の取扱いなど、研究者自身が裁量権を持つことは多く、大学人として期待される活動と、企業活動は分けて考えなければならない。

不透明な取引は、「李下に冠を正さず」ではないが、それだけで何らかの利益の移転があったのではないか、という誤解を招きかねない。

そこで近年、こうした問題に対応するため、大学はルール整備やマニュアル作り、事例の蓄積を進め、相談窓口なども充実を図っている。

共同研究などにあたっては、利益相反防止のため、制度の理解や早めの相談など、先手先手を打っていくことが望まれるだろう。

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