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2006年9月13日 (水)

利益相反②

利益相反とは何だろうか。

簡単に言えば、一人の人物ないし組織が、二つの相反する立場におかれていること、しかも、そのうち一方の立場を犠牲にすることで、もう一方の特定の利益を追求することが可能だという状況である。

もとより最初から一方の立場にのみ依拠するということで、旗幟が鮮明になっていれば、利益相反問題は生じない。

しかし、異なる顧客の間に立つ、公的責任と私欲の追求にはさまれる、といった複数の立場に立つと、利益相反の可能性が生じてくる。

例えば、A社がB 社を買収するというM&Aを考えてみよう。

ここに両方から信頼を得ているCという仲介者がいたとする。

しかし、A社はどうしてもB社を買いたいと思っているのに、B社は買収されたくないと、考えていたら、どうだろう。

あるいはB社が同意したとしても価格は高く売りたい、一方のA社はできるだけ安く買いたい、とそれぞれが考えていると、これも相容れない。

あちらを立てればこちらが立たずで、Cにどのような仲介手段が残されているだろうか。

この話は空論ではない。実は、つい数年前まで、日本企業の間のM&Aを仲介した銀行や証券会社は、この仲介者Cの立場をとることが、多々あったのだ。

仲介者Cは、両方の会社のメインバンクをやっている、とか、あるいは両方の会社の主幹事を務めているということで、両者から信頼を得る立場にあったのだ。

かくして、Cが落としどころを考えて、A社もB社も「Cさんがそこまで言うなら」ということで、シャンシャンと手を売ったのである。

ところが、最近のライブドアとフジテレビ(ニッポン放送)、楽天とTBS、王子製紙と北越製紙、などに見られるように、「食うか食われるか」の世界が出現すると、銀行や証券といえども、中立的な仲裁など、もはや不可能だ。

結果は、銀行も証券もどちらの側に立つのか最初からはっきりさせる、一方の代理人となってその顧客の利益最大化を目指す、ということになった。

M&Aの世界において、仲介型は消滅し、代理人型が主流になったのである。

まさに今日、M&Aなどにおいても、利益相反問題は無視しえないところまで拡大し、それが様式を決定する時代に入ったのである。

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