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2006年9月26日 (火)

米国特許、先発明主義から先願主義に転換

米国が、特許の扱いに関して、「先発明主義」から「先願主義」に転換する、と報道されている。(9月26日の日本経済新聞朝刊一面)

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20060926AT2M2500X25092006.html

確かに、これは画期的なことではある。

日本や欧州では、先に出願した方に特許を与える「先願主義」であったが、米国は誰が先にその発明をしたのかを特定して特許を与える「先発明主義」であった。

特許を認める基準に世界標準がなく、米国vs日欧に分断されていたため、これまでも様々な悲喜こもごもがあった。

よくステルス特許などともいわれたが、日本で出した特許で世界事業を展開していたところ、ある日突然米国から、「その特許はもっと前にうちが発明していたんだぞ・・」というレターが届くというのは、よく聞く話だ。

そうした産業界の一般論だけでなく、筆者の経験からしても、国立大学の特許出願というところで、米国との違いを痛感したことがある。

それは、国立大学法人化前、大学特許出願の費用をどう工面するか、という議論をしていた時である。

「先願主義」の日本では、特許の権利を確実なものにするには、一刻も早く出願しなければならない。

しかし、特許をとったからといって、ライセンスや事業化でリターンが出る特許などごくごく一部にすぎない。

かくて、企業がその発明をほしがるかどうか事前にマーケティングするのが一番効率がいいということになるのだが、そうすると、今度は情報が漏れて、他社に抜け駆けで出願される恐れが出てくる・・。

といって、研究者からあがってくる全ての特許出願依頼を、回収の見込みも無く応じていたら、出願費用がいくらあっても足りない・・というので、堂々巡りになった。

そこで、米国ではどうしているのかと調べると、これが「先発明主義」なのであった。

すなわち、発明ノートを完備して、発明の記録(日付)をきちんと残しておけば、あわてて特許出願しなくてもよい。

企業が本当にライセンスをほしがるかどうか、事前にマーケティングをかけて、行けそうな発明だけ、出願する。

事前の選別により、出願の費用は抑えられる。

・・ということで、日本の国立大学は今後どうしたらいいのか、大変苦慮したことがあった。

幸い、国立大学法人化を契機に、大学特許の出願料には優遇措置が施されたので、現時点では、負担は軽いものになっている。

むしろ記事が本当なら、米国の大学や企業は、「先願主義」への対応を迫られるだろう。

「先願主義」に手馴れた日本の機関にとっては良い話だし、このチャンスをこそうまく活かしてほしいと思う。

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