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2006年7月13日 (木)

サイエンスとエンジニアリング②

(7月10日より承前) 前回、「サイエンス」の分野では、偶然をつかみ取る能力(セレンディピティーともいわれる)がとても重要だという話をした。

そのため研究者にプレッシャーだけ与えても、事前に予想したとおりにはならないことが多い、という。

それでは、もう一方の「エンジニアリング」は、どうだろうか。

これは、知り合いの研究者が言っていたことだが、「エンジニアリング」の場合は、むしろ「サイエンス」とは正反対だという。

つまり、どんなプレッシャーがあっても必ず期待した成果を出すような、そんな能力が必要になるそうだ。

たとえば、ロケットを打ち上げるというプロジェクトがあれば、必ず打ち上げ予定日までにシステムを完璧に作動させなければならない。

歴史的な事例では、アポロの月着陸は、部品の不良率から計算して、99.9999%の成功確率で実施されたという。

100%はありえないにしても、統計学的に、限りなくそれに近い予見性をもって、プロジェクトを完遂しなければならないのだ。

当然、開発者たちにかかるプレッシャーたるやすさまじいものがあるが、絶対にそれを跳ね除ける力、あるいはセレンディピティーではなく、事前の計画をそのとおりやり遂げる力が要請される。

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というわけで、「サイエンス」と「エンジニアリング」では、成果の求め方が自ずと異なってくる。

前者は不確実性の中から失敗はありうるにしても大きな成果を、後者は確実性のうちに予期したとおりの成果を求めるものだ。

産業界が大学と連携する、という場合には、この両者を区別して、予算と期限、求める成果、を設計しておかなければならない。

当然、研究者の側の開発に対する目標やインセンティブを、よくよくすり合わせておくことが大事だ。

産業界が絶対確実な成果を、大学など研究機関の研究者が不確実な研究を、志向しているとすると、その共同研究は危ういものになりかねない。

プロジェクトにおいて、それは「サイエンス」なのか「エンジニアリング」なのか、事前のプランニングがきわめて重要になるものと思われる。

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