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2006年6月21日 (水)

大学のミッションについて④

(6月5日から承前)大学の「研究」「教育」に続く第三のミッションは、「社会還元」である。

もちろん、「研究」も「教育」も、ともに「社会還元」的な要素を含んではいる。

まず、「研究」成果は、多くの論文となって、さまざまな知見を社会に与えている。

それが企業の開発者にヒントを与えたり、あるいはメディアを通じて社会生活の方向性に影響を与えるのは、多々あることだ。

たとえば最近、巷で脳(を鍛える)ブームが起こっているけれど、これも大学や研究機関において脳科学が発展したことが引き金になっている。

大学の研究成果というものは新しさや面白さに事欠かないし、そういったものは、この情報化社会において、すぐに喧伝・伝播されるのだ。

また、「教育」も、大学で学んだ人材が社会にでるという効果を通じて、その成果が世の中に浸透していく。

これは筆者の経験だが、米国で90年代に、金融財務の理論で、キャッシュ・フローによる企業価値評価法というのが、はやったことがあった。(日本にも輸入された)

実は、80年代に米国の大学でこの理論を教え込まれた若手達が、大挙してウォール街に就職、その後に世代交代が起こって、皆がこの評価方法を使うようになった - というところを、目の当たりにしたことがある。

古参のアナリストも、こういった新卒者をアシスタントにつけて、この評価法を使って自由にレポートをかかせ、間接的に大学発のノウハウを吸収したりしていたのだ。

これなど、大学の教育が、人材を通して、仕事のやり方を変えた例と言えるだろう。

こうした、「研究」と「教育」を通じた「社会還元」は常になされてきた。

しかし、わが国においても、国の制度改革(国立大学法人化など)を背景として、新しい動きが起こってきたように思える。

すなわち、「教育」と「研究」にインプリシット(暗黙の、含まれた)な「社会還元」ではなく、「社会還元」それ自体を抽出し、大学がそれを主体的に打ち出していこう、という潮流が起こってきたのである。(続く)

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